速くなったのは工程の一つだけ
見積書や報告資料の下書きはAIで数分でできるようになった。それなのにお客様に出せるまでの日数は前と変わらない。そうしたご相談をいただくことがあります。
仕事は書類をつくる工程だけでできているわけではありません。依頼を受ける・下書きをつくる・確認する・承認する・送るという流れがあり、仕事が終わるまでの時間はこのうち一番遅い工程で決まります。どのような業務でも同じことがいえます。多くの現場で作業が滞るのは確認や承認の工程です。
下書きの工程だけを何倍も速くしても確認と承認の速さが同じなら仕上がる量は変わりません。速くなった分は承認を待つ書類として机の上にたまっていきます。
まず詰まっている工程を探す
NSYではAIをどこに使うかを考える前に仕事の流れを工程に分け、どこで待ちが生じているかを確かめることをおすすめしています。次の人の手元で待っている書類が多い工程ほど詰まっています。承認を待つ書類が何件あるか、確認に回してから戻るまで何日かかるかを数えれば詰まっている工程がわかります。
詰まっている工程がわかれば改善する先も決まります。下書きをさらに速くする道具を探すより、確認と承認の手間を減らすほうが仕事全体は早く終わります。
承認だけが残る状態に気をつける
確認の工程が滞ると確認する人は「よくできているから通そう」と判断しがちです。AIでつくった資料は情報が多く整って見えるので、確認する側が誤りを見つけにくくなります。
たとえばAIを使いこなす部下から報告を受けた上司が、中身はよくわからないが正しいのだろうと考えてそのまま通す場面です。これは相手を信頼しているだけで内容を確かめてはいません。誤りを見つけるための確認が抜けて承認の印だけが残ると、待ちは解消したように見えても品質を確かめる手順は働いていません。
人が見る前に機械で済ませる
確認を速くするには人が見る量を減らします。たとえばソフトウェアの開発ではAIによるレビューを人のレビューの前に置き、必須の指摘を直してから人に回す方法があります。承認の条件を複数の人による確認から1人とAIによる確認に見直せば、確認待ちの時間も減らしやすくなります。人がレビューする前に機械で確かめられることは機械で確かめておくという考え方です。
御社の書類でも同じ考え方が使えます。必須の項目が埋まっているかといった決まりで確かめられることは人に回す前に済ませます。そうすれば人は内容の判断に時間を使えます。
詰まりは次の工程へ移る
一つの詰まりを解消すると今度は次に遅い工程で全体の速さが決まります。業務用のアプリが短い時間でつくれても、使う人が使いこなせるようになるまでの時間はなかなか縮まりません。AIで速くなるほど詰まりはつくる工程から人が慣れて判断する工程へ移っていきます。
NSYにご相談いただく場合もまず一つの業務の流れを一緒に書き出し、待ちが生じている工程を探します。そのうえでAIを置く場所と人が判断する場所を決めていきます。



