精度が上がっても手間は残る
AIを入れたのに出てきたものを結局すべて人が見直している。そのため仕事が思ったほど減らない。そう感じているなら原因はAIの精度だけではありません。
たとえば通販の出品を審査する仕事にAIを段階的に入れる場面を考えます。審査の効率が何倍にも上がっても審査にかかる業務時間は同じようには減らないことがあります。
理由は2つあります。AIが問題のない出品を先に除くので人に残るのは判断の難しいものばかりになります。見る件数は減っても1件ずつの負荷は上がります。もう1つはAIの出力があくまで素案で最終の判断を人が担っていることです。担当者は元の情報と基準を照らし合わせてAIの示した内容が妥当かどうかまで確かめます。AIを足しただけで仕事の形が変わっていないのです。
人が最後に全件を確認する運用を見直す
前の工程をどれだけ速くしても人が最後にすべてを見る形が残る限り全体の時間は減りません。NSYではAIだけで完結する範囲を設けて少しずつ広げる進め方をおすすめしています。すべてを任せるわけではありません。お客様やサービスへの影響が大きいところは人が判断する範囲として残します。
AIに任せる範囲を決めるときは間違いが起きたときにどう戻すかもあわせて決めます。AIに判断を任せても会社としての責任はなくならないので、誰が何に責任を持つかも決めておきます。任せる範囲・人が判断する範囲・戻し方の3つがそろえば担当者は例外や新しい種類の判断に時間を使えます。
AIと人では見つけるものが違う
NSYでWebサイトの点検を試したときもAIにつくらせた下書きを人が取捨しました。AIは文字と背景のコントラストやフォームの送信のような測れる不具合を広く見つけます。一方でスマートフォンで最初に見える画面の構図や法律に関わる表現をどこまで言い切るかは人が見て気づきました。確信の持てない指摘を削ったのも人でした。
人の確認を全部なくす必要も全部残す必要もありません。人が何を見るかを決めておけば足ります。NSYでも点検のとき人が見て気づいた抜けのうち、確認項目に加えられるものは加えました。AIに渡す確認項目を整えるほど人は抜けの穴埋めより判断に時間を使えるようになります。
まずは仕事の決まりを書き出す
AIに任せる範囲を広げるには仕事の決まりをAIが読める形に書いておく必要があります。人向けの指示書には曖昧な表現・書かれていない現場のルール・複雑な判断の手順が残りがちです。人は周りに聞いて補えますが、AIは渡された情報しか参照できません。
AIに任せやすい業務を見分ける目安は5つあります。目的がはっきりしている・判断の基準が書かれている・必要な情報が整理されている・例外と境界が決まっている・流れが単純であるという5つです。
NSYにご相談いただく場合もまず対象の業務の決まりと確認の流れを一緒に書き出します。そのうえでAIに任せる範囲と人が見るところを分け、確認の手間が実際に減る形を探していきます。



