使われない原因は覚えることの多さにある
AIツールが使われないと操作が難しいのか研修が足りないのかと考えがちです。しかし多くの場合に社員の負担になっているのは今の仕事の手順を変える量のほうです。新しい画面を開いて新しい書き方を覚え、結果をどこに置くかを決める。一つひとつは小さな手間でも忙しい日には後回しになります。
NSYでは導入を考えるときどう教えるかより先に覚えてもらうことをどこまで減らせるかを考えています。いつものフォルダに置く・いつもどおり作業するという今の手順は変えずにその裏で動く仕組みを加えます。改善の案が2つあって効果が同じなら今のやり方を変えずに済む方を選んでいます。
速くなった分が確認待ちでたまっていないか
もう一つ見直したいのはAIで速くなった仕事のその先です。組織の仕事は道路にたとえると整理できます。下書きや資料づくりは一人が使っても他の人を待たせない道です。一方でレビューや決裁は処理できる量に上限があり、使う人が増えるほど待ち時間が延びる道です。
起案がいくら速くなっても決裁する人の1日の時間は増えません。下書きは早くできたのに仕上がりは前と変わらない。そう感じたら確認や承認の手前に仕事がたまっていないかを見ます。対策は確認する人を増やすことだけではありません。経路や入口を絞る方法もあります。
個人の工夫を仕事の流れに置き直す
一部の人だけがAIを使っている状態もよく見ると活用が止まっている兆候です。AIに詳しい人の工夫はその人の中にとどまり、隣の席には伝わりにくいものです。お客様への対応で忙しい人ほどAIを触る余裕がありません。
NSYでは個人の活用を積み上げるより業務の流れそのものにAIを組み込む形をおすすめしています。作業はAIが担い、評価・判断・意思決定は人が行うという分け方です。流れに組み込んでおけば特別な研修をしなくても日々の仕事でAIを使う人が増えやすくなります。
御社で考えるならまず一つの業務の流れを工程に分けます。どの工程をAIが受け持ち、どこで誰が判断するかを決めておけば担当者が変わっても同じ使い方を続けられます。
操作を増やさずに日常の業務へ組み込む
見直す点は順に3つあります。人に求める変化が多すぎないか。速くなった仕事が確認の手前で待っていないか。AIが個人の手元を離れて仕事の流れの中に置かれているか。
社員には操作の手順を覚えてもらうことより安心して使えることのほうが大切です。「壊しても元に戻せる」「困ったら報告すればよい」と思えれば社員は新しい仕組みを試しやすくなります。NSYの社内でもファイルの記録や保存は自動の仕組みに任せていて、日々の作業で覚えることは増やしていません。
NSYにご相談いただく場合も配ったツールの使い方を教え直すことから始めません。一つの業務の流れを一緒に確認し、今の手順を変えずにAIを置ける場所と人が判断する場所を決めていきます。



