研修のあとに「何に使うのか」で止まる理由
AIの研修では文章の要約やメールの下書きのように、どの会社にも当てはまる例がよく使われます。わかりやすい一方で見た人の多くは「便利そうだが自分の仕事とは別の話」と受け取ります。研修のあと社員の手元には操作の手順しか残らず、明日の仕事のどこで使うかは各自に任されたままです。
NSYではAIが社内に定着しないのは説明が足りないからでなく最初の体験が「だから何」で終わるからだと考えています。教える量を増やす前に最初に何を見せるかを決め直します。
最初に見せるのは御社の仕事でAIがいちばん役立つ場面
最初の体験には御社の仕事の中からAIを使ったときの驚きがいちばん大きい場面を選びます。毎月決まった担当者が手で集計している表や問い合わせの文面を読んで担当を振り分ける作業などが候補です。選ぶときは次の3点を確かめます。
- 見た人が自分の仕事の話だとすぐにわかること
- 社員がふだん開いている道具で見せられること
- 新しい画面を覚えなくても使える経路があること
道具は社員がすでに名前を知っているものから選びます。知らない道具はそもそも試してもらえないからです。ただし社内の決まりやセキュリティの条件で使えない道具もあるため、その確認は先に済ませます。見せる題材は本番の顧客データでつくらず、外に出ても困らない資料で用意します。
使っている人の割合で打ち手を変える
最初の体験のあとは日常の仕事で定期的にAIを使っている人の割合を見ながら打ち手を変えます。
- 2割までの段階ではまず利用状況を数字で見えるようにします。使えているつもりでも実際には使えていないことがあるからです。そのうえで新しいものが好きな人から先に火をつけます。
- 2割から5割の段階では勉強会を道具の紹介にせず、参加した人に何を達成してほしいかを先に決めてから開きます。
- 利用率が5割に達した段階でも、残りの半分の人はまだ「変えなくてもよい」と考えています。8割を超えると現場から「この流れをAI前提で組み直したい」という声が自然に出てくるようになります。
業務改善の相談は基本を知ってもらってから
利用が定着する前に業務改善から手をつけると失敗しがちです。社員がAIで何ができるかを知らないまま要望を出すと推進役が応えきれないほど要求の高い依頼が集まり、社内の期待が下がってしまうからです。
進める順番としてはまず社員にAIの基本を一通り知ってもらいます。次に簡単な作業は現場が自分で片づけられるようにし、推進役はそこで空いた時間を難しい課題に回します。最初の体験で「自分の仕事に使える」と感じてもらうことはこの順番の入口にあたります。
最初の1場面を一緒に選ぶ
NSYにご相談いただく場合も研修の資料づくりから始めることはおすすめしていません。まず御社の業務の流れを伺い、最初に見せる場面を1つ一緒に選びます。あわせて今どのくらいの人がAIを使っているかを確かめ、その段階に合った次の打ち手を決めていきます。



